ある人、弓射ることを習ふに「徒然草」復習編

読解(復習編)

はじめに

自己紹介はこちら

『徒然草』第九十二段(ある人、弓射ることを習ふに)の復習編です。しっかりと文章を声に出して読んで、自分のものにしてください。

本文を読む

 読むときに、これまで学習した内容をしっかり思い出しながら声を出して読みましょう。
特に、以下の単語の意味が本文の中で言えるか確認してみてください。

「たのむ」(動・マ四)
「なほざり」(名)
「おろそかなり」(形動・ナリ活)
「ねんごろなり」(形動・ナリ活)

以下の部分を訳せるか確認。

以下の5項目が何も見ずに訳すことができるか確認してください。できなかった人は、予習編を見てください。

  • ①後の矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり
  • ②一つをおろそかにせんと思はんや
  • ③かさねてねんごろに修せんことを期す
  • ④いはんや一刹那のうちにおいて、懈怠の心あることを知らんや
  • ⑤なんぞ、ただ今の一念において、ただちにすることのはなはだ難き

この文章は、初学者の心構えが書かれています。「初心忘るるべからず」なんて言いますが、初めて何かをするときに起こる「緊張感」や「高揚感」はどんなに慣れても忘れないようにしないといけないなと思っています。慣れてくると「怠け心」というか、基本を「舐める」こともよくありますよね。当の本人は反論するでしょうが、他者からみると基本をおろそかにしているように見えるななんてことは本当によくあることです。私も「どうせ次がある」ではなく、「この一回で全力を尽くそう」という気持ちは忘れずにいようと、いつもこの文章を読むと思わされます。みなさんはどのようなことを感じたでしょうか。

文法の確認

形容詞・形容動詞の確認です。形容詞・形容動詞については、こちらをご覧ください。

本文中の青太字の活用の種類と活用形を答えなさい。

 ある人、弓射ることを習ふに、(もろ)()をたばさみて的に向かふ。師のいはく、「初心の人、二つの矢を持つこと①なかれ。のちの矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。毎度ただ得失なく、この(ひと)()に定むべしと思へ。」と言ふ。わづかに二つの矢、師の前にて一つを②おろかにせんと思はんや。()(だい)の心、自ら知らずといへども、師これを知る。この戒め、万事にわたるべし。
 道を学する人、夕べには(あした)あらんことを思ひ、朝には夕べあらんことを思ひて、重ねて③ねんごろに(しゆ)せんことを()す。いはんや、(いつ)(せつ)()のうちにおいて、懈怠の心あることを知らんや。なんぞ、ただ今の一念において、ただちにすることのはなはだ④かたき

解答は以下の通りです。

①(形容詞)ク活用・命令形 ②(形容動詞)ナリ活用・連用形 ③(形容動詞)ナリ活用・連用形 ④(形容詞)ク活用・連体形
④は「なんぞ」の係り結びで連体形になっています。「や」「か」だけでなく、疑問詞も係り結びの法則が起こり、文末を連体形にすることを知っておいてください。

では、また次の回でお会いしましょう。

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