はじめに
自己紹介はこちら
今回は「児のそら寝」の第二回です。前回の内容を思い出しながら進んでください。
することは「本文を読む」「人物の確認」「お話の理解」の3つです。その後、理解しにくい箇所の解説に進みましょう。
本文を読む
スマホの場合は画面を横にして、前回の範囲の内容をしっかり思い出しながら、本文をじっくり読んでみましょう。思い出せなかった人は第一回を再度見てください。
![生徒](https://gonnnosuke.com/wp-content/uploads/2024/03/cat-8639550_640-150x150.png)
前回は12行目の「念じて寝たるほどにまで読んだね」
![](https://gonnnosuke.com/wp-content/uploads/2024/06/7f7c3267082a999ca1647e2c8c41b030-2-1024x724.jpg)
登場人物の確認(再度)
児(ちご)、僧たち
お話を簡単に理解
第一段落
・比叡山延暦寺にある児がいた
・他の僧がぼたもちを作ると話していて、児も食べたいと思った
・でも、子供が夜に起きているのはよくないと思って寝たふりをしていた
第二段落
・僧は起こしてくれたが、一度返事するのはよくないと思い、児は返事をしない
ーーーー(ここから第二回)ーーーー
・他の僧が起こすのはかわいそうだという→児は困る
・おいしそうな食べる音を聞いて、我慢できず児はずっと後になってから返事する
・僧たちは大笑い
理解しにくい箇所の解説を見る
以下の4箇所が分かれば、ほぼ文章は理解できるはずです。
⑦な起こしたてまつりそ
⑧あなわびし
⑨食ふ音のしければ、すべなくて
⑩僧たち笑ふことかぎりなし
![先生](https://gonnnosuke.com/wp-content/uploads/2024/03/1709722242435-4-1-150x150.jpg)
児を起こそうとした僧に、別の僧が声をかけます。
⑦な起こしたてまつりそ
→(訳)お起こし申し上げないで。
「たてまつる」は謙譲語の補助動詞と呼ばれるものです、今は「〜申し上げる」と訳すと知っておけばよいでしょう。
「な――そ」
=「――しないでください」
※やわらかい「禁止」を表す。
![](https://gonnnosuke.com/wp-content/uploads/2024/03/ee3be1d100caf1aa771552d59c2bd436-3.jpeg)
![](https://gonnnosuke.com/wp-content/uploads/2024/03/1709722242435-4-1-150x150.jpg)
寝ているのに起こしたらかわいそうだと言われた児は、どういう行動にでたのだろう?
⑧あなわびし
→(訳)ああ、つらい
「あな」=(感動詞)ああ
「わびし」は、思うようにはかどらずやりきれないことを表し、「1苦しい、つらい/2さびしい(わびしい)」などと訳す。ここでは、「つらい」でよいでしょう。
「わびし」
1苦しい、つらい 2さびしい
![](https://gonnnosuke.com/wp-content/uploads/2024/03/1709722242435-4-1-150x150.jpg)
もう一度起こしてほしいと児は思うが、僧は声をかけてくれません。児はつらいですね。
⑨食ふ音のしければ、すべなくて
→(訳)食う音がしたので、どうしようもなくなって
「けれ」は「〜た」と過去の意味を表す助動詞。これが已然形になって、「ば」とつながっている。これの解釈は以下の通り。
「已然形+ば」(順接確定条件)
1〜ので(原因・理由)
2〜(する)と/(した)ところ(偶然条件)
※「ば」が未然形に接続すると、順接仮定条件を表し、「もし〜ば」と訳すことなります。
*「未然形」や「已然形」って何?という人はこちらをご覧ください
「すべなし」(術無し)
=なすすべがない/どうしようもない
(術無し)は「ずちなし」と読むこともあります。意味はほぼ同じです。
![](https://gonnnosuke.com/wp-content/uploads/2024/03/cat-8639550_640-150x150.png)
あ、児がいきなり返事をしたよ。
⑩僧たち笑ふことかぎりなし
→(訳)(児がずっと後になってから返事したので)僧たちは(児の考えや行動が滑稽だと思い)この上なく笑った。
「限りなし」=この上ない
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もう一度、おおまかに話の内容を確認
![](https://gonnnosuke.com/wp-content/uploads/2024/06/7f7c3267082a999ca1647e2c8c41b030-2-1024x724.jpg)
![](https://gonnnosuke.com/wp-content/uploads/2024/03/1709722242435-4-1-150x150.jpg)
文章全部読んで、内容を再確認しよう!
第一段落
・比叡山延暦寺にある児がいた
・他の僧がぼたもちを作ると話していて、児も食べたいと思った
・でも、子供が夜に起きているのはよくないと思って寝たふりをしていた
第二段落
・僧は起こしてくれたが、一度返事するのはよくないと思い、児は返事をしない
・他の僧が起こすのはかわいそうだという→児は困る
・おいしそうな食べる音を聞いて、我慢できず児はずっと後になってから返事する
・僧たちは大笑い
一通り学習を終えたら、復習編も読んでみてください。
追記
この文章は、動詞の活用の種類を学ぶために使われることも多いです。動詞について理解をしておきたい人は以下のページをご覧ください。
基本編第1回 古文文法 基礎事項の確認
・五十音 ・活用形
・係り結びの法則
基本編第2回 動詞について(基本編)①
・動詞とは
・活用の種類について
四段活用 上二段活用 下二段活用
基本編第3回 動詞について(基本編)②
・活用の種類について
上一段活用 下一段活用 変格活用
基本編第4回 動詞について(発展編)
・活用の種類の見分け方
・難易度の高い動詞
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