「絵仏師良秀」テスト対策&練習問題

目次

「絵仏師良秀」テスト対策

では、今回の「絵仏師良秀」において、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話します。テスト対策は次のような流れで行うとよいでしょう。このサイトは下記の流れで解説をしています。

STEP
本文を確認する

テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。

STEP
あらすじを確認する

「どのような話」か、簡単に説明できる状態にしましょう。

STEP
出題ポイントを確認する

ここでのメインになります。古文はどうしても「知識」を問う必要があるので、問われる箇所は決まってきます。それならば、「よく問われる」出題ポイントに絞って学習すれば、大きな失点は防げそうですね。このサイトでは「よく問われる」箇所のみを説明していますので、じっくり読んでみてください。

STEP
問題演習をする

本文読解の一問一答を解答し、古典文法の問題を解答します。古典文法の問題は必ず出題されます。それは、直接「動詞の活用」や「助動詞の意味」を問うような問題だけでなく、現代語訳や解釈の問題などでも出題されます。必ず問題を解いて、できるようになっておきましょう。このサイトは文法事項の説明も充実しているので、詳しく知りたいときは、ぜひそれぞれの項目に進んで学習してみてください。

本文の確認

 テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してみてください。

 これも今は昔、絵仏師良秀といふありけり。家の隣より火出で来て、風おしおほひてせめければ、逃げ出でて大路へ出でにけり。人のかかする仏もおはしけり。また、衣着ぬ妻子なども、さながら内にありけり。それも知らず、ただ逃げ出でたるをことにして、向かひのつらに立てり。
 見れば、すでに我が家に移りて、煙、炎、くゆりけるまで、おほかた、向かひのつらに立ちて眺めければ、「あさましきこと。」とて、人ども来とぶらひけれど、騒がず。「いかに。」と人言ひければ、向かひに立ちて、家の焼くるを見て、うちうなづきて、時々笑ひけり。(『宇治拾遺物語』より)

あらすじの確認

  • 絵仏師良秀の家の隣から出火して、自分の家に燃え移りそうなので、大路へ逃げた
  • 家の中には制作中の仏の絵と妻子が残っているのもかかわらず、向かい側で立っている
  • 自分の家が燃えているのを良秀が眺めていると、周囲の人が慰めてくれる
  • 良秀は慌てず騒がず、時々うなずいては笑っている

出題ポイント

以下の4項目が何も見ずに訳すことができるか、確認してください。

  • 人のかかする仏もおはしけり
  • 衣着ぬ妻子なども、さながら内にありけり
  • 「あさましきこと。」とて、人ども来とぶらひけれど
  • 「いかに」と人言ひければ

①人の描かする仏もおはしけり

(訳)はこちら(タップで表示)

(家の中には)人が良秀に描かせた仏もいらっしゃった

出題ポイント
  • 「人の描かする仏」の解釈
  • 「おはしけり」の意味

「人の描かする」の「の」ですが、これは主格を表す格助詞で、「〜が」と訳します。そうすると、「人が(良秀に)描かせた(仏)」となるわけです。「する」は、使役の助動詞「す」の連体形で「〜(さ)せる」

次に、「おはす」の意味を確認します。「おはす」(動・サ変)は「あり・行く・来」の尊敬語で、「いらっしゃる」という意味です。絵だといっても「仏」ですので、尊敬語が使われているわけですね。また、「けり」は過去の助動詞「けり」の終止形で、「〜た」と訳します。よって、「おはしけり」は「いらっしゃった」と訳せばよいわけです。

②衣着ぬ妻子などもさながら内にありけり

(訳)はこちら(タップで表示)

(外に出る)衣服を着ていない妻や子どもなどもそのまま家の中にいた

出題ポイント
  • 「衣」「妻子」のよみ
  • 「衣着ぬ妻子」の解釈
  • 「さながら」の意味

」は「きぬ」、「妻子」は「めこ」と読みます。「妻」を「め」と読むのはこれからよく出てきますから、今回で覚えてしまいましょう。

「衣着ぬ妻子」の解釈です。「ぬ」は助動詞ですが、ここでは打消の助動詞「ず」の連体形です。「衣着ぬ妻子」の「ぬ」を文法的に考えるときに、まず「ぬ」の上に注目します。それが未然形なのか、連用形なのか考えるわけですが、今回は「着る」(カ行上一段活用)なので、未然形か連用形かの違いがわかりません。ですので、次に「ぬ」の下に注目します。そうすると、「妻子」という名詞(体言)が来ています。ということは「ぬ」は連体形で、この「ぬ」は打消だということが分かるのです。
 また、「さながら」はここでは「そのまま」と理解しておけばよいでしょう。

③「あさましきこと」とて、人ども来とぶらひけれど、

(訳)はこちら(タップで表示)

(火事で家が燃えてしまって)「あきれたことでしたね」と言って、人々が見舞いにやってきたけれど、

出題ポイント
  • 「あさましきこと」の解釈
  • 「とぶらふ」の意味
  • なぜ「人ども」は「あさましきこと」と言っているのか

まずは「あさまし」の意味です。まずは「驚きあきれる」と覚えておけばよいでしょう。そうすると、「あさましきこと」は、「驚きあきれたこと」となりますが、相手に語りかけていることを考えれば、「家が燃えてしまって、驚きあきれたことでしたね」くらいに解釈した方がよいわけです。
次に「とぶらふ」も覚えましょう。ここでは漢字にすると「訪らふ」です。 「とぶらふ」見舞う、訪れる」という意味ですが、「見舞う」をぜひ覚えておきましょう。この場面では、人々は良秀に慰めの言葉をかけているわけです。

④「いかに」と人言ひければ

(訳)はこちら(タップで表示)

(落ち着いている良秀を見て)「どうしたのか」と人々が言ったので

出題ポイント
  • 「いかに」の意味
  • 人はなぜ「いかに」と問うたか

「いかに」疑問詞全般を指します。英語でいう「5W1H」のすべてを担っているので、自分でどの意味になりそうかは、文章の流れから考えていく必要があります。ここでは”how”の意味で、「どう/どのように」が近そうですね。少し意訳して「どうしたのか」とすれば、文章の内容に合いそうです。

では、なぜ「いかに」と問うたのか。それは、良秀が通常と違う態度だったからです。普通なら慌てふためく場面で、良秀は落ち着いています

練習問題(読解一問一答&文法問題)

では、上記の内容が本当に理解できたか、実際に問題を解きながら確認してみましょう。

読解一問一答 5選

1「人の描かする仏」とはどういうものか。

解答(タップで表示)

(人が良秀に描かせた仏の絵)
※人物関係を明らかにすることと、仏の絵であることの両方を答えたいですね。

2「衣着ぬ妻子」をすべてひらがな、かつ6字で答えなさい。

解答(タップで表示)

(きぬきぬめこ)
※「服を着ていない妻や子ども」と訳せるようにもしておきましょう

3「「あさましきこと」とて、人ども来とぶらひけれど、」の「人ども」は、どのような思いで「あさましきこと」と言っているか。

解答(タップで表示)

(家事で家が燃えてしまった良秀に対する同情)
※「気の毒に思っている」などでもよい。

4「人ども来とぶらひけれど、」の「来とぶらひ」の意味を答えなさい。

解答(タップで表示)

(見舞いに来る)
※「訪れる」でも良いかは何とも言えませんが、私が採点者なら減点します。

5「「いかに」と人言ひければ」とあるが、これは良秀のどのような様子を見て言っているのか。

解答(タップで表示)

(家事で家がもえてしまったにも関わらず、落ち着いている様子)

文法の確認

今回は動詞・形容詞の確認をします。あまり多くは出題せず、よく出るものに絞っています。

↑詳細はボタンをタップ!

【問】本文中の青線部の活用の種類と活用形を答えなさい。なお、⑦⑧は形容詞、他は動詞である。

 これも今は昔、絵仏師良秀といふありけり。家の隣より火出できて、風おしおほひてせめければ、逃げ出でて、大路へ出でにけり。人の書かする仏もおはしけり。また、衣ぬ妻子なども、さながら内にありけり。それも知らず、ただ逃げ出でたるをことにして、向かひのつらに立てり。
 見れば、すでにわが家に移りて、煙、炎くゆりけるまで、おほかた、向かひのつらに立ちて、眺めければ、「あさましきこと。」とて、人ども来とぶらひけれど、騒がず。「いかに。」と人言ひければ、向かひに立ちて、家の焼くるを見て、うちうなづきて、ときどき笑ひけり。「あはれ、しつるせうとくかな。年ごろはわろく書きけるものかな。」と言ふ時に、とぶらひに来たる者ども、「こはいかに、かくては立ち給へるぞ。あさましきことかな。物のつき給へるか。」と言ひければ、「なんでふ、物のつくべきぞ。年ごろ、不動尊の火炎を悪しく書きけるなり。今見れば、かうこそ燃えけれと、心得つるなり。これこそ、せうとくよ。この道を立てて、世にあらむには、仏だによく書き奉らば、百千の家も、出で来なむ。わ党たちこそ、させる能もおはせねば、物をも惜しみ給へ。」と言ひて、あざ笑ひてこそ立てりけれ。そののちにや、良秀がよぢり不動とて、今に人々 めで合へり。

解答はこちら(タップで表示)

【解答】
①ラ行変格活用。連用形  
②カ行変格活用・連用形  
③ダ行下二段活用・連用形  
④サ行変格活用・連用形  
⑤カ行上一段活用・未然形  
⑥タ行四段活用・已然形(命令形)  
⑦シク活用・連体形  
⑧ク活用・連用形  
⑨ア行下二段活用・連用形  
⑩ダ行下二段活用・連用形

おわりに

今回は「絵仏師良秀」でした。このお話は高校で古文を学習すると必ずといっていいほど学びます。しかも、割と1年生の初期に学ぶのですが、1年生の初期に学ぶにはやや内容が難しいのではないかと個人的には思っています。せめて助動詞をある程度(打消・受身・使役・過去・完了)身につけてから読みたいですね。理想は1年生の後半か、2年生の初期だと思っていますがいかがでしょうか。いずれにせよ、1項目ずつ丁寧に理解していってください。読めるようになるはずです。

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