【古典文法】助動詞「じ」「まじ」(打消推量など)|接続・活用・意味&テスト対策

 このページでは、学生時代に国語が苦手だった筆者が、この順番で学べば古典文法が分かり、一気に得意科目にできた経験をもとに、25年以上の指導において実際に受講生に好評だった「理解しやすい学ぶ手順」を紹介していきます。

今回は助動詞「む」と助動詞「べし」の基本をきちんと理解した上でないと、混乱を極めますので、まずそちらを理解してから読んでみてください。詳細は下のボタンをタップ!

このページを読んで、できるようになること!
  • 助動詞「じ」と「む」の関係性が分かる!
  • 助動詞「まじ」と「べし」の関係性が分かる!
  • 助動詞「じ」「まじ」の活用の仕方が分かる!
  • 助動詞「じ」の文法的意味が分かる!
  • 助動詞「まじ」の文法的意味が分かる!
  • 助動詞「じ」「まじ」に関する基本的な問題が解けるようになる!
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目次

はじめに

「言はず」と「言はじ」ってどう違うのですか?ちょっと訛(なま)っただけに見えるのですが…。

「ず」は単純な打消だけど、「じ」はそこに「推量」の意味が加わるんだよ。だから「打消推量」と言われるんだ。では、今回はその助動詞「じ」ともうひとつ「まじ」について見ていこう!

助動詞「じ」「まじ」の学習ポイント|接続・活用・意味

 今回学習することの要点を示します。

【助動詞「じ」】

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【助動詞「まじ」】

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打消推量の助動詞「じ」「まじ」について

 今回は助動詞「じ」「まじ」です。どちらも「打消推量」と言われる助動詞です。この助動詞を理解するには、まず「打消の助動詞」と「推量の助動詞」について知る必要があります。まずはそれぞれを先に理解してください。では、始めていきましょう。

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推量の助動詞「む」「べし」との関係性

 簡単にいうと、助動詞「じ」は、助動詞「む」を打ち消したもの助動詞「まじ」は助動詞「べし」を打ち消したものです。ですので、助動詞「じ」「まじ」を知るためには、助動詞「む」「べし」の理解が欠かせません。先に意味だけでも理解しておきましょう。

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 助動詞「む」も「べし」も多くの意味を持っていますから、必然的に助動詞「じ」「まじ」も多くの意味を持つことになります。ただ、これらの助動詞は多くが「推量」の打消(〜ないだろう)「意志」の打消(〜つもりはない)のいずれかになります。ですので、まずは「打消推量」「打消意志」の2つを覚えておくとよいでしょう。それに加えて助動詞「まじ」は、「当然」の打消(〜はずはない/べきでない)「可能」の打消(=不可能、〜できそうにない)を知っておくと読解で困ることはないでしょう。

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接続、活用表、意味

 それでは、助動詞「じ」と「まじ」について、例文を用いてそれぞれ説明していきます。

「じ」の接続・活用表・意味

(例文1)月ばかりおもしろきものはあら
(例文2)(私は)京にはあら

助動詞「じ」は助動詞「む」を打ち消したものですから、まずは「推量」の打ち消しか、「意志」の打ち消しかを考えます。(例文1)の主語は「おもしろきもの」ですから、「意志」とは考えにくいですね。ですので、「推量」の打ち消しであると考えます。そうすると、「月ほど趣深いものはないだろう」と意味も通じます。これを「打消推量」と呼ぶことにします。次に(例文2)を見ると、主語は「私」ですので、「意志」の打消、つまり「打消意志」となります。訳すと「都にいるつもりはない」となり、意味も通じますね。というわけで、助動詞「じ」の文法的意味は「打消推量」「打消意志」の2つをまず覚えておきましょう。さらに、助動詞「む」の持つ意味「適当」の打ち消しである「不適当」も加えて覚えておくとよいでしょう。

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「じ」の文法的意味
 1打消推量(ーーないだろう)
 2打消意志(ーーないつもりだ/つもりはない)
 
3不適当(ーーないほうがよい/のはよくない)

次に接続と活用です。(例文1)の助動詞「じ」の直前を見ると「あら」になっているので、助動詞「じ」の接続は未然形ということが分かります。また、助動詞「じ」は活用はするのですが、形が変わりません。つまり、終止形でも連体形でも已然形でも「じ」となります。これを無変化型(特殊型の1つ)といいます。

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「じ」の接続=未然形
「じ」の活用=特殊型(無変化型)

「まじ」の接続・活用表・意味

(例文3)(〜こそ)秋にはをさをさ劣るまじけれ
(例文4)ただ今は見るまじとて、…
(例文5)えとどむまじければ、…。

 助動詞「まじ」は、「べし」の打ち消しとして使われます。この語は現代でも残っており、「〜まい」と使用します。例えば、「手紙を書くまい」は、主語が「私」なら「意志」を打ち消す言葉(書くつもりはない)として、主語が「彼」なら「推量」を打ち消す言葉(書かないだろう)として使われますね。ですので、「当然」を打ち消すのが原則ではありますが、実際には(例文3[訳:秋には全く劣らないだろう])のように「打消推量」や、(例文4[訳:ただ今は見るまい])「打消意志」の意味を持つことが多いです。
 また、(例文5)「えとどむまじければ、…。」のように「可能」の打ち消しとしても用いられます[訳:留めることはできそうにないので]。これは、「不可能」という意味になりますが、実際にはそこに「推量」の意味も含まれていて、「不可能推量」と言われたりもします。以上から、助動詞「まじ」に「打消推量」「打消意志」「不可能」(不可能推量)の意味が多く使われるということが分かりましたが、他にも「当然」の打ち消しである「打消当然」、「適当」の打ち消しである「不適当」、「命令」の打ち消しである「禁止」などもあります。

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「まじ」の文法的意味
 1打消推量(ーーないだろう)
 2打消意志

(ーーないつもりだ/つもりはない)
 3不適当

(ーーない方がよい/のはよくない)
 4打消当然

(ーーはずがない/べきでない)
 5禁止(ーーな/てはいけない)
 6不可能(ーーできそうにない)

次に接続と活用です。どちらも助動詞「べし」と同じです。(例文5)「えとどむまじければ、…。」を見ると、助動詞「まじ」は終止形に接続することが分かります。ただし、終止形接続の助動詞はラ変型は連体形に接続するのは「まじ」も同じです。また、活用は形容詞形で、形容詞のシク活用と同じ活用をします。ただし、命令形はありません。

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「まじ」の接続=終止形
 ※(ラ変型は連体形)
「まじ」の活用=形容詞型

以上で助動詞「じ」「まじ」の説明を終わりますが、結局のところ、

助動詞「じ」は「む」の打ち消し
助動詞「まじ」は「べし」の打ち消し

これが分かっていれば、読解で困ることはないと思います。さらには、現代語の「ーーまい」であることも知っておいたら、ほぼ問題はないでしょう。あとは、実際に問題を解いて理解を深めていってください。

テスト対策(練習問題)

 助動詞「じ」「まじ」について理解ができたか、実際の問題を通して確認していきましょう。

一問一答3選(超基礎編)

1. 「じ」の接続は?

2. 「まじ」の意味を3つ答えなさい?

3. 「えとどむまじければ」の「まじけれ」の活用形は?

解答(タップで表示)

1.未然形 2.打消推量・打消意志・打消当然(不可能・禁止・不適当) 3.已然形

練習問題

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【問】 各文中の、助動詞「じ」「まじ」を抜き出して、その文法的意味と活用形を書きなさい。

(1)えとどむまじければ、たださし仰ぎて、泣きをり。

(2)今は世にあらじものとや、思ふらむ。

(3)かかる折にも、あるまじき恥もこそと心遣ひして……。

(4)残しおかじと思ふ反古など、破り捨つる中に……。

解答・解説はこちら(タップで表示)

【解答】(1)「まじけれ」不可能(打消推量)・已然形(2)「じ」打消推量・連体形(3)打消当然・連体形(4)「じ」打消意志・終止形

【解説】
(1)「えとどむまじければ、たださし仰ぎて、泣きをり。」
「えーーまじ」の形になっている場合は、「え」が不可能の意味を表すので「打消推量」ととってもよいのですが、一般的には「不可能」ととることが多いです。「ば」に接続していますが、活用から考えて已然形です。

(2)「今は世にあらじものとや思ふらむ。」
「じ」は基本的に「打消推量」か「打消意志」のどちらかでとるとよいです。今回は主語が「私」ではないので、「打消推量」がよいでしょう。「もの」の直前の「じ」なので連体形です。

(3)「かかる折にも、あるまじき恥もこそと心遣ひして……。」
「あるまじき(名詞)」は現代語でも使いますが、「あってはならない」などという意味ですね。これは「打消当然」となります。体言の直前の「まじ」なので連体形です。

(4)「残しおかじと思ふ反古など、破り捨つる中に……。」
(2)でも述べたとおりです。今回は「残しおかじ」に「 」をつけることができるので、主語は「私」ととることができます。よって「じ」は打消意志です。「と」につながり、係り結びはないので「じ」は終止形です。

おわりに

 今回は、助動詞「じ」「まじ」について学習しました。助動詞「む」「べし」の打ち消しなので、意味の仕分けが必要ですが、「む」「べし」が分かっていればそれほど困ることはないはずです。

 助動詞の解説は以上で終わりです。ここで取り上げなかった助動詞もありますが、それは読解のところで出てくるたびにお話していきます。この助動詞の項目がマスターできれば、読解はかなり楽になってきます。必要であれば何度も見返して、自分のものにしていってください。

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