助動詞とは/助動詞「ず」

助動詞
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はじめに

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生徒
生徒

先生、古文の勉強で一番大変なのが助動詞って聞いたのですが、本当ですか?

先生
先生

うーん、一番かどうかは感じ方次第だけど、理解しないといけない項目が多いから、時間はかかるかもしれないね。でも、順番にやっていったら確実にできるようになるから、一緒にがんばろう!

はじめに、今回学習することの要点を示します。

助動詞とはどういうものか

助動詞とはどういうものかを考えていく際に、まずは「助動詞」という言葉を理解するところから始めます。「助動詞」は、「動詞ける」と書きます。つまり、動詞の前後にあって、動詞の意味を更に細かく表していく働きをするものということです。日本語では助動詞は原則動詞の後ろに来ます

次に、「花が咲く」という文を考えてみましょう。
この文に「していない」という、動作を打ち消す意味を加えてみましょう。すると、古文では、
「花が咲かず」
となります。さらに、その下に「ども」という助詞(接続助詞)を下につけてみると、古文では、
「花が咲かねども」
となります。この、「花が咲く」「花が咲かず」「花が咲かねども」の3つの文に助動詞の特徴が表れているので、確認していきましょう。

先ほど、「ず」が「していない」という打消うちけしの意味を加えることは話しましたので、それ以外の特徴を見ていきます。まず、「咲かず」という部分に注目しましょう。「ず」を後ろにつけると「咲く」という語は「咲か」と変化していますね。これは「咲く」という助動詞が活用したからですが、それは「ず」という助動詞が上の動詞を未然形に変化させる特徴を持っているからとも言えます。つまり、「ず」という助動詞は直前の動詞を未然形に変えるものであるということが分かります。

助動詞とは
① 原則動詞の後ろに付き、その動詞の活用形を変える

2つ目です。次は「ず」という助動詞の形に注目します。後ろが句点、つまり終止形の場合は「咲かず」と「ず」になっているのですが、後ろに「ども」がきた場合、つまり「ず」が已然形になった場合、「咲かねども」と「ね」に変わっているのです。つまり、助動詞の「ず」は活用するということが分かります。

助動詞とは
② それ自身活用する

3つ目の特徴は最初に話しました。「ず」は「〜ない」という「打消」の意味を付け加えます。「ず」は「打消」一つですが、複数の意味を持つものもあります。少しずつ理解していきましょう。

助動詞とは
③ 「打消」などの意味を付け加える

助動詞の特徴は以上です。助動詞は学校文法で28語ありますが、それぞれの語について、私たちが今後覚えていかなければならないのは、以下の3点です。

  • 接続(直前の語(主に動詞)との)
  • 活用表
  • 意味(「打消」「過去」など)

「接続」とは、直前の語とのつながりのことです。具体的にいうと、直前の動詞の活用形が何(未然形など)になるかということを指します。助動詞は、直前の語に注目する必要があるということを理解しておきましょう。ここまでが、助動詞を学習していくための前提知識です。

打消の助動詞「ず」

助動詞の学習において、最も学習しやすいのがこの「ず」です。先程までの説明で、直前の動詞は未然形になること(接続が未然形であること)、「〜ない」という「打消」の意味を表すことは分かったはずです。あとは、「ず」がどのように活用していくかを見ていけばいいわけです。

活用表は横書きでは分かりにくいので、下の板書の「活用表」を見てください

活用表では、形容詞などと同じように、2列あることがわかります。ところで、助動詞はその多くが動詞や形容詞、形容動詞と同じような活用をするのですが、これは例外で「『特殊型』の活用をする」といいます。
活用表の左の列(ざら/ざり/◯/ざる/ざれ/ざれ)は「ず」に「あり」がついて「ずあり」がつづまったものです。終止形と命令形以外は「ず」と「ざり」のように2つありますが、それぞれの使い分けなど覚える必要はありません。ただし、活用表の右側(ず/ず/ず/ぬ/ね/◯)の連体形の「ぬ」は、後に出てくる「完了の助動詞」と間違えやすいので、読解の際は注意しましょう。また、漢文の書き下し文では、終止形の「ず」以外は原則左側の活用を使うことを知っておいてもいいかもしれません。以上、助動詞「ず」についてまとめました。改めて上の板書を見て、整理してください。

練習問題

助動詞「ず」について理解ができたか、実際の問題を通して確認していきましょう。

問 各文中の助動詞「ず」を抜き出して、その活用形を書きなさい。
(1)人目も、今はつつみ給はず、泣き給ふ。
(2)風波やまねば、なほ同じところにあり。
(3)京には見えぬ鳥なれば、みな人知らず。
(4)鳥は林を願ふ。鳥にあらざれば、その心を知らず。

【解答】(1)「ず」連用形(2)「ね」已然形(3)「ぬ」連体形・「ず」終止形 (4)「ざれ」已然形・「ず」終止形

【解説】
(1)人目も、今はつつみ給はず、泣き給ふ。
「つつみ給はず」の「ず」です。「、」でつながるときは原則として連用形です。
(2)風波やまねば、なほ同じところにあり。
「やまねば」の「ね」です。「ば」の直前なので未然形か已然形です。活用表で確認すると「ね」は已然形です。
(3)京には見えぬ鳥なれば、みな人知らず。
「見えぬ鳥」の「ぬ」です。直後が「鳥」で体言なので連体形です。
また、「知らず」の「ず」もあります。文末なので終止形です。
(4)鳥は林を願ふ。鳥にあらざれば、その心を知らず。
「あらざれば」の「ざれ」です。(2)と同じように「ば」の直前ですが、「ざれ」なので已然形です。ちなみに、同じ已然形でも「あらねば」なのか「あらざれば」なのかの使い分けは、時代によって、文体によって異なるので、皆さんは気にする必要はありません。
また、「知らず」の「ず」も抜き出すのを忘れないでください。文末なので終止形です。

おわりに

今回は助動詞の導入から始まり、打消の助動詞について学びました。助動詞の学習は次からが本番と言っても過言ではありません。徐々に難しくなっていきますが、助動詞をマスターすれば、文章を読むのが格段に楽になります。次は「る」「らる」です。また、一緒に学びましょう。

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