はじめに
自己紹介はこちら
先生、活用の種類はもう分かりましたよ。四段活用、上二段活用、下二段活用、3つともカンペキです!
お、すごいね。でも、実は活用の種類は3つだけじゃないんだよ。あと6つあるので、それらもきちんと確認しておかないとね。
はじめに、今回学習することの要点を示します。詳しく知りたい方は項目ごとに確認してください。
動詞の活用の種類
「活用の種類」とは、活用の仕方を表します。「活用の種類」は全部で9種類あります。前回は「四段活用」「上二段活用」「下二段活用」の3つを学びました。前回の内容はこちら。
今回は残りの6つを学びましょう。
正格活用の動詞について
活用の種類のうち、通常の活用(つまり、「ルール通り」に活用しているもの)を「正格活用」といい、前回学習した四段活用・上二段活用・下二段活用を含めて全部で5種類あります。今回は残りの2種類をお話します。
④上一段活用
「見る」を例に見ていきましょう。語幹はありません。「み」が活用します。
「み(ず)」「み(たり)」
「みる(。)」「みる(時)」
「みれ(ども)」「みよ(!)」
実は現代語と全く同じです。
真ん中より上の一段で活用しているので「上一段活用」と言います。マ行で活用しているので、合わせて「マ行上一段活用」です。縦の表にまとめると以下のとおりです。語幹は「◯」または「(見)」と書きます。
⑤下一段活用
古文において「下一段活用」は「蹴る」の一語しかありません。「蹴る」は現代語では「蹴ら(ず)」「蹴り(たり)」と五段活用になるので違和感がありますが、古文では以下のように活用します。
「け(ず)」「け(たり)」
「ける(。)」「ける(時)」
「けれ(ども)」「けよ(!)」
真ん中より下の一段で活用しているので「下一段活用」と言います。下一段活用は「蹴る」一語だけなので、「カ行下一段活用」しかありません。縦の表にまとめると以下のとおりです。語幹は「◯」または「(蹴)」と書きます。
正格活用と変格活用
これまでの動詞は「ルール通り」に活用しているので、「正格活用」といいます。一方、これから出てくる動詞は「ルールどおりではない」活用をするので、「変格活用」といいます。変格活用はルールから外れているものなので、当然その活用をする動詞の数は少なくなります。
変格活用の動詞について
変格活用の動詞は全部で4種類(カ行四段活用・サ行変格活用・ナ行変格活用・ラ行変格活用)です。
⑥カ行変格活用
現代語では「来る」ですが、古文では「来」がカ行変格活用の動詞です。カ行変格活用は略して「カ変」と呼ばれることも多いですね。カ変動詞は現代語と同じように古文でも「来」一語しかありません。古文では以下のように活用します。
「こ(ず)」「き(たり)」
「く(。)」「くる(時)」
「くれ(ども)」「こ(!)・こよ(!)」
まとめると以下のとおりです。
⑦サ行変格活用
現代語では「する」ですが、古文では「す」がサ行変格活用の動詞です。略して「サ変」ですね。サ変動詞は「す」の他にも「おはす」があります。このあたりは、次回の動詞の活用の見分け方でお話しします。古文では以下のように活用します。
「せ(ず)」「し(たり)」
「す(。)」「する(時)」
「すれ(ども)」「せよ(!)」
下二段活用と連用形が異なっていますね。まとめると以下のとおりです。
⑧ナ行変格活用
ナ行四段活用をするべき動詞は、連体形と已然形が異なる活用をします。それをナ行変格活用(ナ変)といいます。ナ行変格活用は現代語にはありません。ナ変動詞は「死ぬ」「往ぬ(去ぬ)」の二語です。「往ぬ」を活用させると、
「往な(ず)」「往に(けり)」
「往ぬ(。)」「往ぬる(時)」
「往ぬれ(ども)」「往ね(!)」
となります。まとめると以下のとおりです。
⑨ラ行変格活用
動詞は言い切りの形が「ウ段」でしたね。このラ行変格活用が唯一の例外で、言い切りの形が「り」となります。「存在する」の意を表す「あり」、それを敬語にした「をり」「はべり」「いまそかり(いますがり)」の四語がラ行変格活用です。基本は四段活用と同じですが、終止形が「り」となります。
「あら(ず)」「あり(たり)」
「あり(。)」「ある(時)」
「あれ(ども)」「あれ(!)」
となるわけです。まとめると、以下のとおりです。
以上、前回と合わせて、9種類の活用を見てきました。少しずつ覚えていってもらえればと思います。
練習問題
上一段活用、下一段段活用、カ変、サ行、ナ変、ラ変を実際に表に書いてみましょう。
問 以下の動詞の活用表を書きなさい。
①「着る」 ②「干る」 ③「ゐる」
④「蹴る」 ⑤「来」 ⑥「す」
⑦「往ぬ」 ⑧「はべり」
②の「干る」③の「ゐる」が難しいでしょうか。まずは何も見ずに考えてもらえたらと思います。
解答は以下の通りです。横書きでは書けないので、下の板書を見てください。
おわりに
今回は前回の続きで、残りの6つの活用の種類をまとめて学習しました。後の4つは変格活用と言い、通常の活用とは異なるので、覚えなくてはならないものだということも分かりました。
次回は実践編です。本文の中の動詞が「◯行□□活用・△△形」と答えられるようになるための、理解すべきこと、試験によく出る難易度高めの動詞などをお話します。また、次回お会いしましょう。
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