動詞について(基本編)第1回

文法 基本

はじめに

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動詞とはどのようなものか

「動詞」の説明は現代語の文法でも説明されたことがあると思いますが、基本的には同じです。
まず、「書く」「読む」「見る」などの動作を表す言葉であり、言い切りの形が「ウ段」であるということです。言い切りの形というからには、「言い切りでない形」があるということですね。下に句点(。)とは別の言葉がついたときには、例えば「書く」ではなく「書か(ず)」となります。つまり、活用するということですね。また、「書く」だけで意味は通じますから、これを「自立語」というわけです。
 よって、動詞とは以下の特徴があるとまとめられます。

  • 自立語で活用がある。
  • 動作を表す
  • 言い切りの形が「ウ段」

言い切りの形は「ウ段」が原則なのですが、古文では例外があります。それは後で出てきますが「ラ行変格活用」と言われるものです。それは出てきた時に学習しましょう。

改めて活用について考えます。動詞は「活用」のある語です。活用とは、後に続く語によって様々な形に変わることでしたね。例えば「咲く」という動詞は「咲か(ず)」「咲き(たり)」「咲け(ども)」などに変わります。その「咲か」は未然形、「咲き」は連用形、「咲け」は已然形という名前がついており、それらを「活用形」ということは以前お話しました。詳しく知りたければこちらをご覧ください。
また、「咲く」という言葉に注目すると、「咲」は活用しない部分であり、「く」が活用する部分であることに気がつきます。この活用しない部分を「語幹」、活用する部分を「活用語尾と言います。

動詞の活用の種類

「活用の種類」とは、活用の仕方を表します。「活用の種類」は全部で9種類あります。今回はその9種類がどのようなものか、特徴を紹介していきましょう。

①四段活用

「行く」を例に見ていきましょう。そのためには、準備として以下の板書を見てください。

「行く」の後につく語の代表を決めます。未然形は「ず」、連用形は「たり」、終止形は「。」、連体形は「時」、已然形は「ども」、命令形は「!」として、表の上段に横書きで書きます。これはどの動詞でも同じにします。また、a・i・u・e・oは段を表し、縦書きで書きます。
次に、「行(ず)」は「か」を伸ばすと「a」音になるので、未然形の下のa段に「か」を書きます。同様に「行(たり)」はi段、「行(。)」「行(時)」はu段、「行(ども)」「行(!)」はe段に書きます。すると以下の板書のようになります。

上の表を見ると、a・i・u・e・oの五つの段のうち、四つの段を使って活用していることが分かります。これを「四段活用」と言います。また、「行く」はカ行で活用しているので、合わせて「カ行四段活用」といいます。

以上が、四段活用の説明でした。上の表は実際に見ることはほとんどないでしょう。実際には未然形から命令形を縦書きにした表が使われます。その表は上に語幹(活用しない部分)も表します。次の板書を見てください。

左端の表がこれからみなさんが見たり、問題で実際に記入していく表になります。ですので、みなさんはこの表が書けるようになっていってください。

②上二段活用

「起く」を例に見ていきます。「起(ず)」「起(たり)」までは違和感なくできるでしょうが、古文では終止形が「起きる」ではなく、「起(。)」となります。もっと違和感があるのが、連体形と已然形で、「起くる(時)」「起くれ(ども)」となります。命令形は「起きよ」でほぼ現代語です。以上をまとめると以下の通りになります。

u段を真ん中として、その真ん中とその上(i段)の合わせて二段を使って活用しているので、これを「上二段活用」と言います。また、「起く」はカ行で活用しているので、合わせて「カ行上二段活用」といいます。実際にみなさんが見たり、実際に書いたりする表は以下の通りです。

③下二段活用

「捨つ」を例に見ていきます。これも「捨(ず)」「捨(たり)」までは違和感なくできるでしょうが、古文では終止形が「捨てる」ではなく、「捨(。)」となります。上二段活用と同じで、連体形と已然形は、「捨つる(時)」「捨つれ(ども)」となります。命令形は「捨てよ」でほぼ現代語です。以上をまとめると以下の通りになります。

u段を真ん中として、その真ん中とその下(e段)の合わせて二段を使って活用しているので、これを「下二段活用」と言います。また、「捨つ」はタ行で活用しているので、合わせて「タ行下二段活用」といいます。実際に見たり、実際に書いたりする表は以下の通りです。

練習問題

四段活用、上二段活用、下二段活用を実際に表に書いてみましょう。

問 以下の動詞の活用表を書きなさい。
①「申す」 ②「言ふ」 ③「遊ぶ」 
④「過ぐ」 ⑤「閉づ」 ⑥「恋ふ」 
⑦「流る」 ⑧「見ゆ」

現代語と異なるものに注意しましょう。特に②「言ふ」⑤「閉づ」⑥「恋ふ」⑧「見ゆ」は現代語では「言う」「閉じる」「恋う」「見える」なので、少し難しいかもしれません。実際に手を動かして、書いてみると、感覚が少しつかめると思います。また、古文の仮名遣いにも慣れていきます。

解答は以下の通りです。文字にするのは難しいので、板書を確認してください。

おわりに

今回は、まず動詞とはどのようなものかを学びました。そこでは、前回学習した活用形の復習ができたと思います。その後、活用の種類が現代語より多いことを知りました。9種類ある活用形のうち、四段活用・上二段活用・下二段活用の3つを学ぶことができました。次回は動詞の2回目です。動詞の活用の種類のうち、残りの6つをまとめて学習します。また、お会いしましょう。

動画で確認したい場合は、以下をご覧ください。5分30秒あたりからです。

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