児のそら寝 復習編

読解(復習編)

はじめに

自己紹介はこちら

今回は「児のそら寝」の復習です。復習でやることも、実は予習とそんなに変わりません。

本文を読む

 スマホの場合は画面を横にして、これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。
 思い出せなかった人は予習編の第1回第2回を再度見てください。

以下の部分を訳せるか確認。

以下の10項目が何も見ずに訳すことができるか。確認してください。できなければ、下の説明を見てください。

  • ①宵のつれづれに
  • ②寝ざらむも、わろかりなむ
  • ③定めて驚かさむずらむ
  • ④驚かせたまへ
  • ⑤ただ一度にいらへむも
  • ⑥念じて寝たるほどに
  • ⑦な起こしたてまつりそ
  • ⑧あなわびし
  • ⑨食ふ音のしければ、すべなくて
  • ⑩僧たち笑ふことかぎりなし
①宵のつれづれに

→(訳)夜の退屈な時間に

ここでは、「宵」と「つれづれ」の意味を覚えておく必要があります。

「宵」=夜(になってすぐ)
「つれづれ」(徒然)
 =退屈(だ)/手持ちぶさた(だ)

さらに、「に」の上に「時間」が省略されていることが分かれば解釈はできます。

②寝ざらむも、わろかりなむ

→(訳)(僧がぼたもちを作るからといって、子どもの自分が)寝ないようなのも、きっとよくないだろう

 ここには、「ざら」「む」「な」「む」と助動詞が4つも出てきますが、今はこのような意味になるということだけ知っていればよいでしょう。
  「ざらむ」=〜ないような
  「なむ」=きっと〜だろう

 「わろかり」は「わろし」という形容詞が活用したもので、意味は「よくない」です。
「わろし」を学ぶときには、よく似た意味の「よし」「よろし」「あし」の意味もまとめて理解しておくとよいでしょう。

「わろし」=よくない
 ※よし
よろし→わろし→あし

③定めて驚かさむずらむ

→(訳)(僧たちは)きっと起こす (=起こしてくれる)だろう

「さだめて」=きっと
「むず」「らむ」(助動詞)=(2語で)〜だろう
「驚かす」はまず「驚く」の意味を覚えておく必要があります。

「驚く」
 1はっと気がつく/2目を覚ます

ここでは、2の意味を「驚かす」に当ててみます。そうすると、「目を覚まさせる」という意味になりますが、要するに「起こす」ということです。

④驚かせたまへ

→(訳)目をお覚ましください

「驚く」は③で説明した通り、2の「目を覚ます」です。
「せ」「給へ」はどちらも「尊敬」の意味を表す語で、「お〜になる/〜なさる」と訳せばよいでしょう。ただ、命令形なので「〜ください」とすべきところです。ちなみに、「給へ(給ふ)」は補助動詞と呼ばれるものですが、これももう少し後で学びましょう。

⑤ただ一度にいらへむも

→(訳)たった一度で返事をする(ような)ことも(待っていたと思われてよくない)

ここでの「む」も「〜ような」という意味ですが、これも学習していけば後々わかるようになります。

「いらふ」=返事をする

⑥念じて寝たるほどに

→(訳)がまんして寝ている時に

「念ず」=我慢する
「ほど」(程)=時

⑦な起こしたてまつりそ

→(訳)お起こし申し上げないで。

「たてまつる」は謙譲語の補助動詞と呼ばれるものです、今は「〜申し上げる」と訳すと知っておけばよいでしょう。

 「な――そ」
 =「――しないでください」
 ※やわらかい「禁止」を表す。

⑧あなわびし

→(訳)ああ、つらい

 「あな」=(感動詞)ああ

 「わびし」は、思うようにはかどらずやりきれないことを表し、「1苦しい、つらい/2さびしい(わびしい)」などと訳す。ここでは、「つらい」でよいでしょう。

 「わびし」
  1苦しい、つらい 2さびしい

 

⑨食ふ音のしければ、すべなくて

→(訳)食う音がしたので、どうしようもなくなって

「けれ」は「〜た」と過去の意味を表す助動詞。これが已然形になって、「ば」とつながっている。これの解釈は以下の通り。

 「已然形+ば」(順接確定条件)
  1〜ので
(原因・理由)
  2〜(する)と/(した)ところ(偶然条件)
 ※「ば」が未然形に接続すると、順接仮定条件を表し、「もし〜ば」と訳すことなります。

「すべなし」(術無し)
 =なすすべがない/どうしようもない
(術無し)は「ずちなし」と読むこともあります。意味はほぼ同じです。

⑩僧たち笑ふことかぎりなし

→(訳)(児がずっと後になってから返事したので)僧たちは(児の考えや行動が滑稽だと思い)この上なく笑った。

「限りなし」=この上ない

文法の確認

この文章は高校一年生の初期に読むことが多いでしょうから、動詞の問題として出題されることが多いと考えられます。ですので、以下の問題を解いて、動詞の問題に慣れておきましょう。

動詞の他、古文文法における基本事項の知識を確認したい場合はこちらをご覧ください。

本文中の青太字①〜㉔の動詞の活用の種類と活用形を答えなさい。

 これも今は昔、比叡の山に児①ありけり。僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひ②む。」と③言ひけるを、この児、心寄せに④聞きけり。さりとて、し⑤出ださむを⑥待ちて⑦ざらむも、わろかりなむ、と⑧思ひて、片方に⑨寄りて、⑩たるよしにて、⑪出で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき⑫合ひたり。
 この児、さだめて⑬おどろかさむずらむ、と待ち⑭たるに、僧の、「もの⑮申しさぶらはむ。⑰おどろかせ⑱たまへ」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度に⑲いらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて、今一声⑳呼ばれていらへむ、と㉑念じて寝たるほどに、「や、な㉒起こしたてまつりそ。幼き人は㉔寝入りたまひにけり」と言ふ・・・

解答は以下のとおりです。

動詞の問題が全くわからない人は、まず初めに、活用表を作ってみるという練習をしてもよいかもしれません。

例えば、上記の問題であれば、①〜⑧までの表を作ってみます。

どうしても1年生の最初の方は動詞の活用からは逃れられないので、ここを得点源にしておくと古典(言語文化)の試験では他の人と差がつくことになり、自信もついてくると思いますよ。がんばってください。

以上が、復習です。お疲れ様でした。また、次回お会いしましょう。

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