このページでは、学生時代に国語が苦手だった筆者が、この順番で学べばテストで点数が取れ、一気に得意科目にできたという経験をもとに、25年以上の指導において実際に受講生に好評だった「これなら古文が理解できる!」という学ぶ手順も具体的に紹介していきます。「テスト対策」では、テスト前に「これだけは覚えておいてほしい」という項目をできるだけ絞って説明しています。読み終わる頃には、テストに十分対応できる力がついていることでしょう。

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「木曽殿の最期」テスト対策 第三回
『木曽殿の最期』の後半部において、テストに出そうな内容にできるだけ絞ってお話しましょう。テスト対策は次のような流れで行うとよいでしょう。このサイトは下記の流れで解説をしています。
テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。
古文の問一は「よみ」の問題であることが多いですね。出題されるものは決まっているので、ここで落とさないように、しっかり確認しておくことです。
「どのような話」か、簡単に説明できる状態にしましょう。
ここでのメインになります。古文はどうしても「知識」を問う必要があるので、問われる箇所は決まってきます。それならば、「よく問われる」出題ポイントに絞って学習すれば、大きな失点は防げそうですね。このサイトでは「よく問われる」箇所のみを説明していますので、じっくり読んでみてください。
いわゆる「文学史」の問題です。テスト対策としては、それほど大きな点数にはならないのですが、確実に得点したいところです。
本文読解の一問一答を解答し、古典文法の問題を解答します。文法の問題は必ず出題されます。それは、直接「動詞の活用」や「助動詞の意味」を問うような問題だけでなく、現代語訳や解釈の問題などでも出題されます。必ず問題を解いて、できるようになっておきましょう。「スマホで学ぶ古文」は文法事項の説明も充実しているので、詳しく知りたいときは、ぜひそれぞれの項目に進んで学習してみてください。
本文の確認
テスト直前でもすべきことの基本は、「本文を読むこと」です。これまで学習した内容をしっかり思い出しながら読みましょう。「テスト対策」はあえてふりがなをつけていません。不安な場合は、「読解のコツ」の「本文を読む」で確認してみてください。
今井四郎ただ一騎、五十騎ばかりが中へ駆け入り、鐙ふんばり立ちあがり、大音声あげて名のりけるは、「日ごろは音にも聞きつらん、今は目にも見給へ。木曽殿の御乳母子、今井四郎兼平、生年三十三にまかりなる。さるものありとは鎌倉殿までもしろしめされたるらんぞ。兼平討つて見参にいれよ。」とて射残したる八筋の矢を、差しつめ引きつめさんざんに射る。死生は知らず、やにはに敵八騎射落とす。その後打物抜いて、あれに馳せ合ひ、これに馳せ合ひ切つてまはるに、面を合はするものぞなき。分どりあまたしたりけり。ただ、「射とれや。」とて、中に取り込め、雨の降るやうに射けれども、鎧よければ裏かかず、空き間を射ねば手も負はず。
木曽殿はただ一騎、粟津の松原へ駆け給ふが、正月二十一日、入相ばかりのことなるに、薄氷は張つたりけり、深田ありとも知らずして、馬をざつとうち入れたれば、馬の頭も見えざりけり。あふれどもあふれども、打てども打てども働かず。今井が行方のおぼつかなさに、振り仰ぎ給へる内甲を、三浦石田次郎為久、追つかかつて、よつ引いてひやうふつと射る。痛手なれば、真甲を馬の頭に当てて、うつぶし給へるところに、石田が郎等二人落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つてんげり。太刀の先に貫き、高く差し上げ、大音声をあげて、「この日ごろ日本国に聞こえさせ給ひつる木曽殿をば、三浦石田次郎為久が討ちたてまつたるぞや。」と名のりければ、今井四郎いくさしけるが、これを聞き、「今はたれを庇はんとてか、いくさをもすべき。これを見給へ、東国の殿ばら、日本一の剛の者の自害する手本。」とて、太刀の先を口に含み、馬より逆さまに飛び落ち、貫かつてぞ失せにける。
さてこそ粟津のいくさはなかりけれ。
(『平家物語』より)
この文章の前の部分は以下をご覧ください。(中盤部は会員限定記事です)
読みで問われやすい語
青線部の読みができるようになっておきましょう。
- 鐙ふんばり立ちあがり、大音声あげて名のりけるは、
- 木曽殿の御乳母子、今井四郎兼平、生年三十三にまかりなる。
- その後打物抜いて、あれに馳せ合ひ、これに馳せ合ひ切つてまはるに、
- 鎧よければ裏かかず、空き間を射ねば手も負はず。
- 正月二十一日、入相ばかりのことなるに、
- 石田が郎等二人落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つてんげり。
- 今はたれを庇はんとてか、いくさをもすべき。
解答はこちら(タップで表示)
「鐙」は「あぶみ」、「大音声」は「だいおんじょう」、「乳母子」は「めのとご」、「打者」は「うちもの」、「馳(せ)」は「は(せ)」、「鎧」は「よろい」、「入相」は「いりあい」、「郎等」は「ろうどう」、「庇(はん)」は「かば(わん)」です。すべて現代語訳で示しています。
あらすじの確認
・木曽殿が去った後、今井兼平は一人で敵に向かって威勢よく名乗りを上げる
・今井兼平は敵に矢を放つ 相手も大量の矢を放つ
・木曽殿は粟津の松原へ駆けるが、馬に乗ったまま土の深い田に入ってしまう
・三浦の石田次郎為久に追いつかれ、矢を射られてしまう
・最期は石田の家来に首をはねられる
・今井兼平は木曽殿の死を耳にして、馬から飛び落ちて自害する
出題ポイント
今回は、文の中でここが出題されるというポイントはあまりありません。全体で内容をつかむことと、文法的な理解をすることができればよいと思います。「読解のコツ」記事の「文章の確認」を読んで、大きく内容をつかんでみてください。特に、現代語訳で気をつけたいところは、後の「読解一問一答5選」で確認してみてください。
文学史・文学作品の確認
今回の「木曽殿の最期」は『平家物語』の一節です。『平家物語』は、平家一門の盛衰を描く軍記物語(戦記物語)です。「諸行無常」、「盛者必衰」という仏教的無常観に基づいて平家の権勢の興隆もやがて衰えていくことを語っています。原作者・成立年代は分かっていませんが,13世紀の末には盲目の琵琶法師たちによって語り伝えられ、それが徐々に加筆・修正を加えられて今の形になったと考えられています。ただ、『徒然草』の中で、信濃前司行長が書いたとあります。
琵琶法師が話を語る形式のため、文章は口語体で読みやすく、音便も多く用いられています。また、現代の言葉と同じように、漢語と和語を融合させた文体です。これを「和漢混淆文」(わかんこんこうぶん)といいます。以上が簡単な『平家物語』の説明です。

練習問題(一問一答&文法問題)
では、上記の内容が本当に理解できたか、実際に問題を解きながら確認してみましょう。
読解一問一答 5選
1「日ごろは音にも聞きつらん」を現代語訳しなさい。
解答(タップで表示)
ふだんは(きっと)噂にでも聞いているであろう
2「さるものありとは鎌倉殿までもしろしめされたるらんぞ」の「鎌倉殿」が誰か分かるように現代語訳しなさい。
解答(タップで表示)
そのような者がいるとは源頼朝殿までもご存じでいらっしゃるだろうよ。
3「正月二十一日、入相ばかりのことなるに」とは具体的にいつのことか。
解答(タップで表示)
(元暦元(1184)年)1月21日の、夕暮れ時
4「追つかかつて、よつ引いてひやうふつと射る。」を人物関係が分かるように現代語訳しなさい。
解答(タップで表示)
三浦石田次郎為久が、木曽殿に追いついて、(弓を)よく引き絞ってひょうふっと(矢を)射る。
※「ひょうふっ」は擬音語です。
5「今はたれを庇はんとてか、いくさをもすべき。」を現代語訳しなさい。
解答(タップで表示)
今となっては、誰をかばおうとして、いくさをしようか、いや、するつもりはない。
文法の確認
今回は助動詞の確認です。助動詞についてまとめたものは、以下をご覧ください。
【問題】青線部の助動詞の元の形(終止形)と文法的意味を答えなさい。
今井四郎ただ一騎、五十騎ばかりが中へ駆け入り、鐙ふんばり立ちあがり、大音声あげて名のりけるは、「日ごろは音にも聞き①つ②らん、今は目にも見給へ。木曽殿の御乳母子、今井四郎兼平、生年三十三にまかりなる。さるものありとは鎌倉殿までもしろしめさ③れ④たる⑤らんぞ。兼平討つて見参にいれよ。」とて射残し⑥たる八筋の矢を、差しつめ引きつめさんざんに射る。死生は知ら⑦ず、やにはに敵八騎射落とす。その後打物抜いて、あれに馳せ合ひ、これに馳せ合ひ切つてまはるに、面を合はするものぞなき。分どりあまたし⑧たり⑨けり。ただ、「射とれや。」とて、中に取り込め、雨の降るやうに射けれども、鎧よければ裏かかず、空き間を射ねば手も負はず。
①〜⑨の解答はこちら(タップで表示)
【解答】
⑩「ず」打消 ②「り」存続(完了) ③「る」尊敬 ④「たり」存続 ⑤「らむ」現在推量 ⑥「たり」存続(完了) ⑦「ず」打消 ⑧「たり」完了 ⑨「けり」過去
木曽殿はただ一騎、粟津の松原へ駆け給ふが、正月二十一日、入相ばかりのことなるに、薄氷は張つたりけり、深田ありとも知らずして、馬をざつとうち入れたれば、馬の頭も見え⑩ざりけり。あふれどもあふれども、打てども打てども働かず。今井が行方のおぼつかなさに、振り仰ぎ給へ⑪る内甲を、三浦石田次郎為久、追つかかつて、よつ引いてひやうふつと射る。痛手なれば、真甲を馬の頭に当てて、うつぶし給へ⑫るところに、石田が郎等二人落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つ⑬てん⑭げり。太刀の先に貫き、高く差し上げ、大音声をあげて、「この日ごろ日本国に聞こえさせ給ひ⑮つる木曽殿をば、三浦石田次郎為久が討ちたてまつたるぞや。」と名のりければ、今井四郎いくさしけるが、これを聞き、「今はたれを庇は⑯んとてか、いくさをもす⑰べき。これを見給へ、東国の殿ばら、日本一の剛の者の自害する手本。」とて、太刀の先を口に含み、馬より逆さまに飛び落ち、貫かつてぞ失せ⑱に⑲ける。
⑩〜⑲の解答はこちら(タップで表示)
【解答】
⑩「ず」打消 ⑪「り」完了 ⑫「り」完了 ⑬「つ」完了 ⑭「けり」過去 ⑮「つ」完了 ⑯「む」意志 ⑰「べし」意志 ⑱「ぬ」完了 ⑲「けり」過去
※⑬⑭は軍記物独特の表現です。詳しくはこちらを確認してください。
おわりに
今回は、『平家物語』「木曽の最期」の終盤、木曽義仲の最後の戦について復習していきました。『平家物語』は「無常観」をベースにして文章が描かれているので、登場人物の最期も生き生きと描かれます。テンポがよいので、非常に読んでいて心地の良い文章でもあります。ぜひ授業で読んだものだけでなく、その他の文章にも触れてもらいたいと思っています。
また、『平家物語』は他にも面白い文章がたくさん出てきます。特に読みやすい文章なので、ぜひ多くの文章に触れてみてほしいと思います。「ビギナーズ・クラシックス」などで、ぜひ読んでみてください。
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